Real Estate Consulting

相続不動産Q&A・不動産コンサルティング

相続した実家・空き家・駐車場・二世帯住宅などの「不動産+税金」のお悩みを、国税庁の最新情報に基づいてやさしく解説します。売る前・分ける前のひと工夫で、税負担は大きく変わります。

「不動産は分かるが、税金が分からない」を解消します

当事務所は、税理士・社会保険労務士・行政書士・中小企業診断士の4資格を持つ所長が、相続・譲渡・評価・資金計画までワンストップで対応します。関連会社「相続・事業承継&不動産サポート株式会社」(宅建業申請中)とも連携し、税務と不動産実務の両面からご提案する新しいコンサルティング窓口です。

このページでわかること

  1. 相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除
  2. 相続税の取得費加算の特例(払った相続税を取得費に)
  3. 小規模宅地等の特例:二世帯住宅の場合の要件
  4. 小規模宅地等の特例:被相続人が老人ホームに入居していた場合
  5. 小規模宅地等の特例:駐車場として貸していた土地の場合
  6. 貸家に隣接した駐車場を貸家建付地として評価できるポイント
  7. 市街化調整区域内の宅地(雑種地)の評価方法
  8. 私道は0評価か30%評価か
  9. 負担付贈与(借金付きで不動産を贈与)の課税
  10. 市街化調整区域内で地積規模の大きな宅地の評価ができるか(適用フロー)
  11. 私道に接していても無道路地評価になるか(建築基準法上の道路か)
  12. 農業をやめて荒れ地になった農地の評価
  13. 借地権上の賃貸併用住宅の土地・建物の評価
  14. がけ地を有する宅地の評価(がけ地補正)
  15. 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の宅地の評価
  16. セットバックを要する宅地の評価
  17. 都市計画道路予定地がある宅地の評価
  18. 道路と高低差がある宅地の評価(利用価値の低下・3要件)
  19. 太陽光発電設備用地(雑種地)の宅地造成費控除
  20. 敷地内の水路・用悪水路の評価(単独使用か複数使用か)
  21. 自宅と一体にできる家庭菜園の要件
  22. 容積率の異なる2以上の地域にまたがる宅地の評価
  23. 【令和6年改正】分譲マンションの評価方法(ガイドへ)

不動産にまつわるQ&Aは、今後も順次追加してまいります。

Q相続した実家(空き家)を売りました。3,000万円の特別控除は使えますか?
結論:一定の要件をすべて満たせば、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上のときは1人あたり2,000万円)を差し引けます。適用できるのは令和9年(2027年)12月31日までの売却です。
これらの条件をすべて満たすと… 昭和56年5/31以前の建物 区分所有登記なし 相続直前は一人暮らし 売るまでずっと空き家 譲渡所得から最高 3,000万円 控除 ※相続人が3人以上のときは2,000万円/令和9年末までの売却
図:空き家3,000万円特別控除の主な要件と控除額

主な要件(やさしく言うと)

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家であること(いわゆる旧耐震の家)。
  • マンションのような区分所有建物の登記がされていないこと(一戸建てが基本です)。
  • 相続が始まる直前に、被相続人が一人で住んでいたこと(同居していた人がいなかったこと)。老人ホーム入居などの事情があるときは、入居直前の状態で判定する取扱いがあります(Q4も併せてご覧ください)。
  • 相続のときから売るときまで、事業・賃貸・居住のいずれにも使っていないこと(空き家のままであること)。
  • 売り方は次のいずれかです。① 家を耐震リフォームしてから土地・建物を売る/② 家を取り壊して土地を売る/③ 令和6年1月以後の売却なら、売った年の翌年2月15日までに買主側で耐震改修または取壊しをする場合も対象になります。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 親子・夫婦など特別の関係がある人への売却でないこと。

注意点

  • 後述の「取得費加算の特例」(Q2)とはどちらか一方の選択になります(両方は使えません)。有利なほうを選びます。
  • 市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。手続きに時間がかかるため、早めの準備をおすすめします。
  • この特例を受けるには、確定申告が必須です。
出典(国税庁):No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合
根拠法令:租税特別措置法35条 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q相続した土地を売ります。払った相続税を経費にできる(取得費加算)と聞きましたが本当ですか?
結論:本当です。相続税の申告期限の翌日以後3年以内(=おおむね相続開始から3年10か月以内)に売れば、その不動産に対応する相続税額を取得費に加算でき、譲渡所得=かかる税金を小さくできます。
相続開始 相続税の 申告期限 売却の タイムリミット 約10か月 + 3年 この約3年10か月以内に売却すればOK
図:取得費加算の特例が使える期間(相続開始〜申告期限の翌日以後3年)

適用を受けるための要件

  • 相続または遺贈で財産を取得した人であること。
  • その人に相続税が課税されていること(相続税がゼロの方は使えません)。
  • 相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

ポイント

  • 加算できるのは、売った財産に対応する相続税の部分だけです(以前のように土地全体分ではありません)。
  • 加算額は譲渡益が上限です。確定申告で「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を添付します。
  • 空き家3,000万円控除(Q1)とは併用できません。シミュレーションで有利なほうを選びます。
出典(国税庁):No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
根拠法令:租税特別措置法39条 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q二世帯住宅でも、小規模宅地等の特例(土地の評価が8割減)は使えますか?
結論:使えます。ただし、その建物が「区分所有建物である旨の登記」をしていないことが条件です。1棟の建物として登記されていれば、玄関や内部が完全に分かれた二世帯住宅でも、子世帯が住む部分の敷地まで含めて特定居住用宅地等(330㎡まで80%減)の対象になります。
1棟で登記 (区分所有登記なし) 子世帯 親世帯 子世帯の敷地も80%減の対象 × 区分所有登記あり (部屋ごとに別登記) 子世帯(別登記) 親世帯 子世帯部分は対象外になりやすい
図:二世帯住宅は「登記の仕方」で結論が変わります(区分所有登記の有無)

やさしく言うと

  • 登記が「1棟(区分所有登記なし)」であれば、中で行き来できない完全分離型でも、被相続人と同じ建物に住む親族として扱われます。その親族が土地を取得し、申告期限まで住み続け・持ち続ければ8割減の対象です。
  • 逆に、親世帯部分と子世帯部分を別々の区分建物として登記していると、子世帯部分の敷地は対象外になりやすいので注意が必要です。
  • 「建てるときの登記の仕方」で結論が変わります。これから二世帯住宅を建てる方は、登記方法を決める前にご相談ください。
出典(国税庁):No.4124 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等/注2・注3)
根拠法令:租税特別措置法69条の4 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q母が老人ホームに入居し、実家は空き家でした。小規模宅地等の特例は使えますか?
結論:一定の要件を満たせば、老人ホーム入居で空き家になっていても、特定居住用宅地等(330㎡まで80%減)の対象になります。
自宅に居住(被相続人) 要介護認定を受け対象施設に入居 自宅は空き家(貸さない) 相続発生 ○適用80%減 空き家を人に貸す・店舗に使う等 → ×対象外になります ※認定を受ける前に入居していても、相続時に認定があればOK
図:老人ホーム入居中に相続が起きた場合の適用フロー

必要な要件

  • 被相続人が、亡くなる時点で要介護認定・要支援認定(または障害支援区分の認定)を受けていること。
  • 入居先が、法律で定められた施設であること。具体的には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などです。
  • 入居した後、その家を事業用・賃貸用、または被相続人等以外の人の居住用にしていないこと。

とくに気をつけたい点

  • 認定の順番は問いません。入居後に認定を受けた場合でも、相続開始の時点で認定を受けていれば対象になります。
  • 空き家を人に貸してしまうと対象外になります。「少しの間だけ」でも賃貸に出すと特例を失うことがあるため、事前にご相談ください。
  • 無認可(法律に定めのない)施設への入居は対象外です。入居先の種類の確認が重要です。
出典(国税庁):No.4124 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等/注1)
根拠法令:租税特別措置法69条の4、同施行令40条の2 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q駐車場として貸していた土地に、小規模宅地等の特例(評価が5割減)は使えますか?
結論:使えますが、アスファルト舗装・コンクリート敷き・車止め・フェンスなどの「構築物」がある駐車場に限られます。砂利を敷いただけや更地のままの青空駐車場(構築物なし)は対象外です。対象になる場合は貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減)です。
アスファルト舗装 +車止め(構築物あり) 貸付事業用 200㎡まで50%減 × 砂利・更地のまま (青空駐車場=構築物なし) ×対象外(構築物なし)
図:駐車場は「構築物(舗装等)の有無」で結論が分かれます

必要な要件

  • 相続が始まる前から、被相続人等が駐車場業(貸付事業)として土地を貸していたこと。
  • 原則として、相続開始前3年以内に新しく貸し始めた土地でないこと。ただし、3年を超えて事業的規模で貸付事業を続けていた場合は、例外的に対象になります。
  • 相続人が、相続税の申告期限まで貸付事業を引き継ぎ、その土地を持ち続けていること。

判断の分かれ目

  • 小規模宅地等の特例は「建物または構築物の敷地」であることが大前提です。舗装などの構築物があるかどうかで結論が分かれます。
  • 砂利敷きは、構築物と認められない場合があります。心配な場合は現況の写真などをご用意のうえご相談ください。
  • 相続の直前に駆け込みで貸し始めた土地は、原則として使えません。生前からの計画的な対策が有効です。
出典(国税庁):No.4124 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等/概要の注)
根拠法令:租税特別措置法69条の4 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q貸家(アパート)に隣接する駐車場も、貸家建付地として評価を下げられますか?
結論:その駐車場が入居者専用で、建物の賃貸借と一体として貸している場合は、駐車場部分も貸家建付地(自用地価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合))で評価でき、評価額を下げられます。一方、入居者以外にも貸す月極駐車場や、建物と別契約の独立した駐車場は自用地評価(減額なし)です。
入居者専用・建物と一体 で貸している駐車場 アパート 入居者専用駐車場 → 貸家建付地(評価減あり) × 外部にも貸す月極駐車場 建物と別契約・独立利用 → 自用地(評価減なし)
図:駐車場が「入居者専用+建物と一体」かどうかで評価が分かれます

一体評価(貸家建付地)にできるポイント

  • その駐車場が貸家の入居者専用であること(外部の人には貸していない)。
  • 駐車場の利用が建物の賃貸借契約に付随していること(建物の賃貸と一体)。
  • 貸家の敷地と駐車場が隣接し、一体として利用されていること(評価単位として1画地)。

注意点

  • 不特定の人へ時間貸し・月極で独立して貸す駐車場業の土地は、土地に借家権が及ばないため自用地評価です。
  • 舗装(構築物)の有無は、小規模宅地等の特例(Q5)の論点であり、貸家建付地にできるかどうかとは別の話です。
出典(国税庁):No.4614 貸家建付地の評価
根拠法令:財産評価基本通達7-2(評価単位)・25・26 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q市街化調整区域内の宅地(雑種地)は、どのように評価すればよいですか?
結論:原則は「固定資産税評価額 × 倍率」で評価します。ただし、固定資産税評価額が市街化調整区域の規制による減価を十分に反映していないことがあるため、宅地比準方式(近傍の標準宅地単価 × 倍率 × 普通住宅地区の画地調整率 ×(1−しんしゃく割合))と比べ、いずれか低い方を採るのが実務上の安全な方法です。
Ⓐ 固定資産税評価額 × 倍率 市町村評価がベース Ⓑ 近傍宅地単価 × 倍率 × 画地調整率 ×(1−しんしゃく割合) 宅地比準方式 いずれか低い方を採用 しんしゃく割合(減価率)の目安 建築が原則不可 … 50% 沿道サービス等 … 30% 建築制限が緩い … 0%
図:2つの方式を比べて低い方を採用/しんしゃく割合の目安(国税庁No.4628)

しんしゃく割合(減価率)の考え方

  • 市街化の影響度」と「雑種地の利用状況」に応じて個別に判定します。
  • 建物の建築が原則できない地域はおおむね50%、沿道サービス施設等の建築が可能な地域は30%、宅地化が進み建築制限が緩い地域は0%が目安です。
  • 都市計画法34条11号に規定する区域などは、上表によらず個別判定になります。
出典(国税庁):No.4628 市街化調整区域内の雑種地の評価No.4623 農地の評価(宅地比準の考え方)
根拠法令:財産評価基本通達7・82 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q私道は0評価ですか、それとも30%評価ですか?
結論:使われ方で3つに分かれます。①不特定多数が通り抜ける公共性の高い私道は0評価(評価しない)。②特定の人だけが使う行き止まり私道自用地価額の30%で評価。③自分の家の敷地への通路として専用利用している路地状敷地は、私道として別評価せず、隣の宅地と一体(1画地)で評価します。
①通り抜け道路 0評価 不特定多数が通行 ②行き止まり私道 30%評価 特定の人だけ通行 ③専用通路 自分の家 宅地に含めて評価 (1画地として)
図:私道の評価は「使われ方」で3パターンに分かれます

注意点

  • 倍率地域で、固定資産税評価額が既に私道として減額されている場合は、私道でないものとした評価額に倍率を乗じた金額の30%で評価します。
  • 特定路線価が設定されている場合は、特定路線価 × 0.3 × 地積で評価しても差し支えありません。
出典(国税庁):No.4622 私道の評価
根拠法令:財産評価基本通達24 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q借金などの負担を付けて不動産を贈与する「負担付贈与」の税金はどうなりますか?
結論:土地・借地権・建物などを負担付贈与した場合、贈与財産は通常の取引価額(時価)で評価し、そこから受贈者が引き受ける負担額を差し引いた金額に贈与税がかかります。通常の贈与(相続税評価額=路線価等)よりも高い時価で評価される点が最大の注意点です。
通常の贈与 相続税評価額(路線価等) 時価より低めに評価 負担付贈与 通常の取引価額(時価) − 負担額 時価評価のため高くなりやすい
図:負担付贈与は「相続税評価額」ではなく「時価」で評価されます

課税のしくみ

  • 土地・借地権・家屋・構築物など … 通常の取引価額(時価)− 負担額。
  • 上記以外の財産 … 相続税評価額 − 負担額。
  • 贈与した側は、負担額でその財産を譲渡したものとして、譲渡益があれば所得税(譲渡所得)の対象になります。

注意点

  • 「住宅ローン付きで不動産をあげれば相続税評価額で済む」と誤解されがちですが、負担付贈与は時価評価のため、節税目的ではかえって不利になりやすい点に注意が必要です。
出典(国税庁):No.4426 負担付贈与に対する課税
根拠法令:相続税法9、相続税法基本通達9-11・21の2-4、平成元年直評5 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q市街化調整区域内でも「地積規模の大きな宅地の評価」はできますか?(適用フロー)
結論:市街化調整区域内の宅地は、原則として対象外です。ただし、都市計画法34条10号・11号に基づき宅地分譲のための開発行為ができる区域内にあれば、例外的に適用できます。面積は三大都市圏で500㎡以上、それ以外で1,000㎡以上が条件です。
いずれかが No → 対象外(規模格差補正なし) ① 面積:三大都市圏500㎡/それ以外1,000㎡以上か?未満なら対象外 ② 市街化調整区域でないか?調整区域でも34条10号・11号で宅地分譲開発できる区域はOK ③ 工業専用地域でないか? ④ 指定容積率400%(東京23区300%)未満か?以上なら対象外 ⑤ 普通住宅・普通商業併用住宅地区か?路線価地域の場合(倍率地域は該当すれば対象) YesYesYesYesYes 適用OK 規模格差補正率を乗じて評価減できます
図:地積規模の大きな宅地の評価 適用判定チャート(上から順にすべてYesなら適用)
出典(国税庁):No.4609 地積規模の大きな宅地の評価
根拠法令:財産評価基本通達20-2 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q私道に接していますが、「無道路地」として評価が下がりますか?
結論:私道に接していても、その私道が建築基準法上の道路でない場合や、道路に2m以上接していない(接道義務を満たさない)場合は、「無道路地」として評価され、評価額が下がります(おおむね40%を限度に減額)。建築基準法上の道路に2m以上接しているかが分かれ目です。
建基法の道路に2m以上接道 宅地 建築基準法上の道路(幅員4m以上) 無道路地ではない(通常評価) × 私道だが建基法の道路でない/接道不足 奥の宅地 幅2m未満 公道 無道路地(最大40%減)
図:建築基準法上の道路に2m以上接道しているかが分かれ目です

ポイント

  • 無道路地とは、道路に接しない宅地や、接道義務を満たさない宅地をいいます。
  • 接道義務=建築基準法上の道路(原則幅員4m以上)に2m以上接すること。これを満たさないと再建築できないことがあります。
  • 評価は、実際に利用している路線価をもとに計算した価額から、通路開設費用相当額(その宅地の価額の40%が限度)を控除します。

注意点

  • 見た目は道に接していても、その道が「建築基準法上の道路」に当たらないと無道路地評価の対象になりえます。役所での道路種別の確認が重要です。
出典(国税庁):No.4620 無道路地の評価質疑応答「接道義務を満たしていない宅地の評価」
根拠法令:財産評価基本通達20-3 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q農業をやめて荒れ地になっている土地は、農地として評価しますか?
結論:農業をやめて荒れていても、いつでも耕作に戻せる状態(休耕地・不耕作地)であれば「農地」として評価します。一方、長期間放置されて雑草や雑木が茂り、容易に農地へ復元できない状態であれば、現況に応じて「原野」や「雑種地」として評価します。地目は登記ではなく課税時期の現況で判定します。
休耕地・不耕作地 農地として評価 いつでも耕作に戻せる 復元困難な荒地 原野・雑種地として評価 雑木が茂り農地に戻せない
図:農地に戻せるか(現況)で評価の地目が分かれます

ポイント

  • 休耕地・不耕作地は農地評価(純農地・中間農地は倍率方式、市街地農地は宅地比準方式)。
  • 雑木林化するなど容易に復元できない状態は、原野・雑種地として現況評価。
  • 判断のため、現地写真や現況の確認で実態を押さえることが重要です。
出典(国税庁):質疑応答「土地の地目の判定−農地」No.4623 農地の評価
根拠法令:財産評価基本通達7・36〜40 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q借地権の上に建つ賃貸併用住宅(自宅+賃貸)の土地・建物はどう評価しますか?
結論:土地(借地権)は、自宅部分と賃貸部分に分けて按分する必要はなく、借地権全体に「賃貸割合」を用いて貸家建付借地権として評価します。建物も同じく「賃貸割合」で借家権部分を控除して評価します。
賃貸部分 (上階) 自宅部分 (下階) 賃貸併用住宅 【建物】 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合30% × 賃貸割合) 【土地=借地権】貸家建付借地権 (自用地価額 × 借地権割合)×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合) 自宅と賃貸を別々の土地に按分しません(賃貸割合で一体評価) 賃貸割合 = 賃貸部分の床面積 ÷ 建物の総床面積
図:土地(借地権)は按分せず、賃貸割合で貸家建付借地権として一体評価します

評価の考え方

  • 建物 = 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合(30%) × 賃貸割合)。
  • 土地(借地権) =(自用地価額 × 借地権割合)×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合)= 貸家建付借地権。
  • 賃貸割合 = 賃貸している部分の床面積 ÷ 建物の総床面積。

ポイント

  • 自宅部分と賃貸部分を別々の土地(評価単位)として面積按分するのではなく、1つの借地権に賃貸割合を乗じて一体で評価します。
出典(国税庁):No.4611 借地権の評価No.4614 貸家建付地の評価(賃貸割合)
根拠法令:財産評価基本通達26・28 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q敷地内に「がけ地」がある宅地は評価を下げられますか?
結論:宅地の中に通常の用途に使えない「がけ地」があり、がけ地割合(がけ地の地積 ÷ 総地積)が10%以上の場合は、平坦地として評価した価額に「がけ地補正率」を乗じて評価を下げられます。補正率は、がけ地割合とがけ地の方位(南・東・西・北)で決まります。
宅地(平坦) がけ地 がけ地割合 = がけ地 ÷ 全体 ≧ 10%で補正 ポイント ・割合10%以上で適用(未満は適用なし) ・同じ割合でも 北向き=減大/南向き=減小 ・傾斜地の宅地造成費とは重複適用しない ・土砂災害特別警戒区域内は Q15 とあわせて  特別警戒区域補正率 × がけ地補正率
図:がけ地割合10%以上で、方位別のがけ地補正率により評価減できます
出典(国税庁):質疑応答「がけ地等を有する宅地の評価」
根拠法令:財産評価基本通達20-5 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内にある宅地の評価は下がりますか?
結論:路線価方式(または宅地比準方式)で評価する場合は、特別警戒区域(レッドゾーン)の地積割合に応じた「特別警戒区域補正率」(おおむね0.90〜0.50)を乗じて評価を下げられます。一方、倍率地域で固定資産税評価額に既にその影響が織り込まれている場合は、重ねて減額しません
路線価方式・宅地比準 通常部分 特別警戒区域(レッドゾーン) 特別警戒区域補正率(0.90〜0.50) で評価減できる 倍率地域の場合 固定資産税評価額に 影響が織り込み済みなら 重ねて減額しない ※警戒区域(イエロー)は対象外
図:レッドゾーンは路線価・宅地比準で補正可/倍率地域は織り込み済みなら減額なし
出典(国税庁):「財産評価基本通達の一部改正について」のあらまし(平成30年)
根拠法令:財産評価基本通達20-6 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Qセットバックが必要な宅地(幅4m未満の道路に接する土地)の評価は?
結論:建築基準法42条2項道路(幅員4m未満)に接し、建て替え時に道路として提供(セットバック)が必要な部分は、その部分の価額の70%を控除(=その部分は30%で評価)できます。
宅地(通常評価) セットバック部分 → 70%控除(30%評価) 幅員4m未満の道路(42条2項道路) 道路の中心線から2mまで後退(セットバック)が必要 ↑ 中心線
図:将来提供が必要なセットバック部分は70%控除(30%評価)できます

ポイント

  • 42条2項道路=幅員4m未満で、道路の中心線から2m後退が必要な「みなし道路」です。
  • セットバック部分は、その部分の自用地価額 × 30%(70%控除)で評価します。
  • すでに後退して道路に提供済みの部分は、私道等として別に評価します。
出典(国税庁):No.4604 路線価方式による宅地の評価(セットバックを必要とする宅地)
根拠法令:財産評価基本通達24-6 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q敷地の一部に都市計画道路の予定がある宅地の評価は下がりますか?
結論:宅地の一部でも都市計画道路の予定地にかかっていれば、その宅地全体の自用地価額に、地区区分・容積率・予定地の地積割合に応じた補正率(0.50〜0.99)を乗じて評価を下げられます。少しでもかかっていれば、全体に補正が及びます。
宅地全体に補正率を適用 都市計画道路 予定地(一部) 一部でも該当 → 宅地全体に控除(補正率0.50〜0.99)
図:予定地が一部でも、宅地全体の評価に補正率が及びます

ポイント

  • 予定地の地積割合が大きいほど、また容積率の高い(立体利用が進む)地域ほど、補正が大きくなります。
  • 「予定地」段階(事業未着手)でも適用できます。役所の都市計画図で予定線を確認しましょう。
出典(国税庁):質疑応答「都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価」
根拠法令:財産評価基本通達24-7 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q道路と高低差があって使いにくい宅地は評価を下げられますか?(高低差の3要件)
結論:道路より著しく高い・低いなど、付近の宅地に比べて利用価値が著しく低下していると認められる宅地は、その低下部分について10%を控除して評価できます(ただし路線価・固定資産税評価額に既に反映されている場合を除きます)。
道路(低い) 擁壁 宅地(高い) 高低差 1m以上 利用価値が著しく低下 → 10%控除 ※路線価等に反映済みなら適用なし
図:道路との著しい高低差で利用価値が低下した宅地は10%控除できます

高低差で10%減を受けるための実務上の3つのポイント

  • ① 評価対象地(とその道路に面する一連の土地)だけに高低差があること。付近一帯が同じような高低差なら、路線価に反映済みとして対象外になります。
  • ② 高低差がおおむね1m以上あること。
  • 接道面のすべてに高低差があり、道路とフラットに接する部分が存在しないこと。

注意点

  • 高低差のほか、地盤の甚だしい凹凸、振動、騒音・日照阻害・臭気・忌み等も対象になり得ます。
  • 路線価・固定資産税評価額に既に織り込まれている場合は、重複して控除しません。
出典(国税庁):No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q太陽光発電設備用地で、宅地造成費の控除はできますか?
結論:太陽光発電設備用地は、ほとんどの場合「雑種地」として、付近の似た土地(地目)に比準して評価します。宅地比準で評価する場合は宅地転用に要する宅地造成費を控除できますが、農地比準・山林比準・原野比準で評価する場合は、その地目の評価方法によるため宅地造成費は控除しません
太陽光発電用地=雑種地 付近の似た土地(地目)に比準 宅地比準のとき 宅地造成費を控除できる 周囲が宅地化している地域 農地・山林・原野比準のとき 造成費の控除はなし その地目の評価方法による
図:何に比準するか(宅地か農地・山林・原野か)で造成費控除の可否が分かれます

ポイント

  • 雑種地は「状況が類似する付近の土地」に比準して評価します(評基通82)。
  • 周囲が宅地化していれば宅地比準となり、宅地造成費の控除を検討します。
  • 市街化調整区域では、しんしゃく割合(Q7)も併せて検討します。
出典(国税庁):No.4628 市街化調整区域内の雑種地の評価質疑応答「市街化調整区域内にある雑種地の評価」
根拠法令:財産評価基本通達82 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q敷地内にある水路(用悪水路)はどのように評価しますか?
結論:まず所有権の有無を確認します(青地などの法定外公共物で所有権がなければ評価対象外です)。所有している水路は、単独使用か複数人使用かで扱いが分かれます。自分の宅地だけが使う水路は宅地と一体(1画地)で評価し、複数人が使う水路は私道に準じて、特定の者の利用なら自用地価額の30%、不特定多数の利用なら評価しない(0)に準じて判断します。
単独使用(自分の宅地だけ) 自宅の宅地 宅地と一体(1画地)で評価 複数人で使用 私道に準じて判断 特定の者 → 30%評価 不特定多数 → 0評価 ※青地(所有権なし)は対象外
図:所有権の有無を確認し、単独使用か複数人使用かで判断します

注意点

  • 水路は個別性が高く、所有関係・利用実態によって結論が変わります。登記と現況の確認が重要です。
出典(国税庁):No.4622 私道の評価(考え方を準用)
根拠法令:財産評価基本通達7-2(評価単位)・24 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q庭続きの家庭菜園は、自宅の宅地と一体で評価できますか?(要件)
結論:登記地目が畑でも、現況が庭続きで自宅敷地と一体利用されている小規模な家庭菜園であれば、宅地と一体(1画地の宅地)として評価します。評価単位は登記ではなく、現況・利用実態で判定します。
1画地として評価 自宅 家庭菜園 一体評価できる要件 ☑ 小規模で、庭の延長といえる ☑ 自宅と連続(高低差・堀・水路で分断なし) ☑ 菜園単独では道路に接しない(無道路地でない) ☑ 自家消費用(販売目的でない) ※登記地目でなく現況で判定
図:小規模・庭続き・自家消費などの要件を満たせば宅地と一体評価できます
出典(国税庁):No.4603 宅地の評価単位質疑応答「地目の異なる土地が一体として利用されている場合の評価」
根拠法令:財産評価基本通達7-2 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
Q容積率の異なる2つ以上の地域にまたがる宅地は評価を下げられますか?
結論:1つの宅地が、正面路線に接する部分と異なる容積率の地域にまたがっている場合は、容積率の格差による減額調整を行い、評価額を下げられます。
奥:容積率 小(例 200%) 正面:容積率 大(例 400%) 正面路線 減額の考え方 減額割合 = (1 − 加重平均容積率 ÷ 正面の容積率) × 地区区分ごとの影響度 適用容積率=指定容積率と基準容積率の小さい方
図:正面と異なる容積率の部分があるとき、格差に応じて減額します

注意点

  • 正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がない場合は、この減額調整は行いません。
出典(国税庁):質疑応答「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)」同(2)
根拠法令:財産評価基本通達20-7 (令和7年4月1日現在の法令等に基づく)
令和6年1月1日〜 改正

分譲マンションの相続税評価が変わりました

令和6年1月1日以後の相続・贈与から、分譲マンション(居住用の区分所有財産)は「区分所有補正率」(評価乖離率・評価水準を用いた補正)で評価します。これにより、これまで時価との差が大きかったタワーマンション等は評価額が引き上げられる場合があります。総階数2以下・専有部分3室以下の二世帯住宅などは対象外です。改正の全体像と計算例は、当事務所のガイドで図解しています。

令和6年 税制改正 & マンション評価ガイドを見る →

出典:国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価(根拠:相法22、令5課評2-74)

不動産Q&A 早見表

テーマ制度主な効果(上限・割合)主な期限・キーポイント出典(国税庁)
① 空き家を売る空き家の3,000万円特別控除譲渡所得から最高3,000万円控除(相続人3人以上は2,000万円)令和9年12月末までの売却/旧耐震・区分所有登記なし・売却代金1億円以下No.3306・3307
② 相続不動産を売る取得費加算の特例払った相続税の一部を取得費に加算し譲渡益を圧縮申告期限の翌日以後3年以内に売却/①とは選択適用No.3267
③ 二世帯住宅小規模宅地・特定居住用330㎡まで評価80%減区分所有建物の登記がされていないことNo.4124
④ 老人ホーム入居小規模宅地・特定居住用330㎡まで評価80%減要介護等の認定+一定の施設/空き家を貸さないことNo.4124
⑤ 貸駐車場小規模宅地・貸付事業用200㎡まで評価50%減舗装等の構築物が必要/相続前3年以内の新規貸付は原則対象外No.4124
⑥ 隣接駐車場貸家建付地自用地価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)入居者専用+建物と一体で貸していることNo.4614
⑦ 市街化調整区域倍率方式/宅地比準固定資産税評価額×倍率 と 宅地比準のいずれか低い方しんしゃく割合 建築不可50%/沿道等30%/緩い0%No.4628
⑧ 私道私道の評価0評価/30%評価/宅地に含める通り抜け=0・行き止まり=30%・専用通路=宅地と一体No.4622
⑨ 分譲マンション居住用区分所有財産(R6改正)区分所有補正率で補正(評価が上がる場合あり)令和6年1月1日以後の相続・贈与から適用No.4667
⑩ 負担付贈与負担付贈与課税通常の取引価額(時価)−負担額に課税相続税評価額でなく時価/節税には不利No.4426
⑪ 地積規模の大きな宅地規模格差補正大きな宅地を減額(市街化調整区域は原則対象外)三大都市圏500㎡・他1,000㎡/34条10・11号区域は例外的に適用可No.4609
⑫ 無道路地無道路地の評価最大40%を限度に減額建基法の道路に2m以上接道できないと無道路地No.4620
⑬ 荒れ地の農地現況地目で評価農地/原野・雑種地に分かれる戻せれば農地・戻せなければ原野等(現況判定)No.4623
⑭ 借地権上の賃貸併用住宅貸家建付借地権借地権・建物とも賃貸割合で評価(土地は按分不要)賃貸割合=賃貸床面積÷総床面積No.4611・4614
⑮ がけ地のある宅地がけ地補正がけ地割合に応じ減額がけ地割合10%以上/方位別/宅地造成費と重複不可評基通20-5
⑯ 土砂災害特別警戒区域特別警戒区域補正0.90〜0.50で減額路線価・宅地比準で適用/倍率地域は織り込み済みなら減額なし評基通20-6
⑰ セットバックセットバック宅地後退部分は70%控除(30%評価)幅員4m未満の42条2項道路に接する宅地評基通24-6
⑱ 都市計画道路予定地予定地補正宅地全体に補正率0.50〜0.99一部でも予定地にかかれば全体に控除評基通24-7
⑲ 高低差・利用価値低下利用価値が低下した宅地低下部分を10%控除対象地だけ・高低差1m以上・接道全面に高低差の3要件No.4617
⑳ 太陽光発電用地雑種地の比準評価宅地比準なら造成費控除可農地・山林・原野比準は造成費控除なし評基通82
㉑ 敷地内の水路水路・用悪水路単独=宅地と一体/複数=私道に準じ30%か0青地(所有権なし)は対象外評基通7-2・24
㉒ 家庭菜園宅地の評価単位宅地と一体で1画地評価小規模・庭続き・自家消費・分断なし・無道路地でないNo.4603
㉓ 容積率がまたがる宅地容積率格差の減額容積率の格差に応じ減額正面と異なる容積率の部分がある場合のみ評基通20-7

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免責事項:本ページは、国税庁タックスアンサー(令和7年4月1日現在の法令等)等の公開情報に基づき、一般的な制度の概要をやさしく説明したものです。実際の適用可否や税額は、登記の状況・利用状況・面積・遺産分割の内容など、個別の事情によって変わります。具体的なご判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご確認ください。本ページの情報により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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